絶体絶命の転生ライフ、カタブツ騎士団長の溺愛にたじたじです ~追放された子猫は愛妻にジョブチェンジ!?~
 わたしの頭の中には疑問符がいっぱいだった。そうこうしているうち、レリウスさまは両開きの重厚な扉の前で足を止めた。
「俺だ」
 ちょっと待って? 中で待ってるのって、王様なんだよね?
 そんな、オレオレ詐欺みたいな第一声じゃ、さすがに怒られ――。
「おお、レリウス! やっと来たか、入ってくれ」
 中から返ってきたのは、明らかに歓迎モードの弾んだ声。
 あれぇえ?
 耳にして、わたしはコテンと首を捻った。
 レリウスさまは脇に控える近衛たちが両側から扉を開けようとするのを待たず、自らの手で片側の扉を引き、ズカズカと部屋の中へと入っていく。
 あ、窓の前に立っているのってきっと王様だ!
 光の加減で顔はよく見えないが、広い応接室の奥、庭園に面したガラスの長窓の前に長身のシルエットを認め、緊張で心臓がバクバクした。
 レリウスさまはカツカツと長靴の音を響かせて奥まで歩いていく。ついに、王様の顔がクリアに……え?
「おいマリウス。帰還した翌日……しかもこんな朝っぱらから使者を寄越して、俺を呼び出すな」
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