絶体絶命の転生ライフ、カタブツ騎士団長の溺愛にたじたじです ~追放された子猫は愛妻にジョブチェンジ!?~
 そう言われたって、ペロルはすっごくおいしくって、ついつい食べるのを急いじゃう。ペロルはきっと魔法のおやつなのだと、わたしは初めてペロルを貰った昨日のうちに確信していた。
 あっという間にペロルを一本食べきってしまい、名残惜しく包装紙をペロペロするも、包装紙じゃちっとも満足できない。わたしはペロペロするのを止め、ジーッとレリウスさまを見上げた。
《ふみゅぅ(レリウスさま、足りないよぉ。ペロル、も一個ちょうだい?)》
 両足に力を込めて二本足で立つと、両方のおてての肉球部分をちょこんと合わせ、コテンと小首をかしげながら上目遣いでお願いする。
「ヴッ」
 レリウスさまはビクンと肩を跳ねさせて、眉間にクッキリ皺を寄せる。そのまましばし逡巡し、スックと立ち上がった。
 ……ん、これは!? わたしは、うずうずしながら超高速で尻尾を揺らしつつ、レリウスさまの動向を見守った。
 わたしの視線の先、レリウスさまはさっきペロルを取り出した棚に向かう。そして中から二本目のペロルを取り出して、わたしのもとに戻ってきた。
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