【完結】身代わり婚〜私、姉の代わりに結婚します〜
裕太さんはちょっと恥ずかしそうに笑った。
「裕太さん、頑張ってください。……きっと愛莉も、応援してくれてると思います」
「そうだといいけどね」
と言いつつも、裕太さんは愛莉のことちゃんと想ってくれているから、きっと嬉しいのだと思う。
「愛莉はそういう人ですよ。愛莉は、裕太さんのこと大好きだったから。……喜ばないはずが、ないです」
愛莉だったらもっと、喜んでいるに違いない。
「……そうだね。愛莉は、優しいからね」
「はい。 もしかしたら愛莉なら、泣いて喜んでたかも」
「そうかもしれないな」
時々こうやって愛莉のことを思い出すのは、辛い時もある。 でもその辛さや悲しみを分け合えるのは、私たち二人でだから。
だから私たちは、夫婦になったの。辛さや悲しみを一緒に乗り越えるために、そして思い出を共有するために。
「愛南、イラストが完成したら、愛南に一番最初に見せるよ」
「え、私に……?」
「ああ。妻には最初に、見てもらいたいから」
私が最初に……。でも本当ならその役目は、愛莉だったはずだ。
私じゃなくて、愛莉だった。 私の役目じゃない。