【完結】身代わり婚〜私、姉の代わりに結婚します〜
「……愛莉?どうした?」
「あ、いえ……。なんでもないです」
愛莉と比べてはいけないと分かっているのに、どうしても比べたくなってしまう。
「さ、早く食べよう。時間ないよ」
「はい」
朝ごはんを食べながら、裕太さんの顔を見るのが毎日の私のルーティンだ。
裕太さんの顔は本当に整っていてカッコイイし、肌もキレイだ。モデルみたいにスタイルも良くて、愛莉と本当にお似合いの人だった。
私からしたら、裕太さんと愛莉は理想の恋人だった。 二人は本当に仲が良くて、幸せそうだったから。
「じゃあ行ってくるよ、愛南」
「うん。……行ってらっしゃい、裕太さん」
私は仕事に出かける裕太さんの背中を見つめながら、裕太さんを見送った。 裕太さんは普段在宅が多いんだけど、時々打ち合わせとかで出かけたりすることもあるみたい。
その後しばらくして、裕太さんが仕事に出かけた後、私も仕事に出掛けた。
「おはようございます」
「おはよう、愛南ちゃん」
私は普段美容師をしている。まだ美容師歴としては三年くらいだけど、私を指名して来てくれる人もいるから、ありがたいと思う。
技術的にまだまだかもしれないけど、お客様が喜んでもらえたら嬉しいんだ。 私にとってお客様は、神様なんだ。