【完結】身代わり婚〜私、姉の代わりに結婚します〜
「こんにちは、愛南さん!」
「田牧(たまき)さん、いらっしゃいませ!」
私指名の常連さん、田牧さん。私を指名してくれる常連のお客様だ。
「愛南さん、結婚したんでしょ? この前店長から聞いたよ!」
田牧さんは嬉しそうに笑ってくれる。
「はい。そうなんです、結婚しました」
「おめでとう、愛南さん。幸せになってね」
田牧さんは私の肩を叩いてくれる。
「ありがとうございます、田牧さん。 お席ご案内しますね、こちらです」
「ありがとう」
田牧さんを席に案内し、私はカットの用意を始める。
「田牧さん、お待たせしました。今日のメニューはどうされますか? 一応、カットということになってますが」
「カットもなんだけど、実はカラーもしたいんだよね〜」
考え込みながら、田牧さんは言う。
「田牧さん前にカラーしたのって、三ヶ月前でしたよね?」
「うん、そう! やっぱりカラーもお願いしようかな」
「じゃあサンプル持ってきますね」
カラーのサンプルをバックヤードから持ってきた私は、それを田牧さんに見せる。
「前はラベンダー系でしたよね?」
「うん」