一途な部長は鈍感部下を溺愛中


「困るんですか……?」


おずおずと尋ねると、当然、というように深く頷かれた。


「困るというか、めちゃくちゃ妬いてしまうから君はそのままでいてくれ。まあ、俺の手で慣れる分には全く構わないけどな」


お茶目に付け足された言葉。でも、気分は浮上しなかった。


部長はただ優しいから、そう言ってくれてるだけじゃないか。本当は、もっと甘え上手で、色々なことをスマートにこなせるような彼女を望んでいるのではないか。


……そんな考えが、どうしても消えてくれない。


「まだ何か考えてるな?」


落ちていた視線を掬いあげるように、頬に手が触れる。そのまま優しく顔を持ち上げられて、微かに射し込む光を弾く、琥珀の煌めきに絡め取られてしまった。


「不安なことがあるなら、怖がらずに言ってごらん」


優しい声で揺すられて、胸の奥がきゅう、と沁みるような痛みを覚える。


「わ、私」

「うん」

「前にも言ったと思うんですけど」

「うん」

「男の人と付き合うの、初めてで……」

「……うん」

「……なんで笑うんですか」


< 136 / 200 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop