一途な部長は鈍感部下を溺愛中
「困るんですか……?」
おずおずと尋ねると、当然、というように深く頷かれた。
「困るというか、めちゃくちゃ妬いてしまうから君はそのままでいてくれ。まあ、俺の手で慣れる分には全く構わないけどな」
お茶目に付け足された言葉。でも、気分は浮上しなかった。
部長はただ優しいから、そう言ってくれてるだけじゃないか。本当は、もっと甘え上手で、色々なことをスマートにこなせるような彼女を望んでいるのではないか。
……そんな考えが、どうしても消えてくれない。
「まだ何か考えてるな?」
落ちていた視線を掬いあげるように、頬に手が触れる。そのまま優しく顔を持ち上げられて、微かに射し込む光を弾く、琥珀の煌めきに絡め取られてしまった。
「不安なことがあるなら、怖がらずに言ってごらん」
優しい声で揺すられて、胸の奥がきゅう、と沁みるような痛みを覚える。
「わ、私」
「うん」
「前にも言ったと思うんですけど」
「うん」
「男の人と付き合うの、初めてで……」
「……うん」
「……なんで笑うんですか」