一途な部長は鈍感部下を溺愛中


何かを飲み込むように唇をもにゅもにゅと動かした部長。


どこか笑みを殺しきれていないその表情にジト目を送ると、すまん、と長い指先が唇を隠した。


「何度聞いても嬉しくて……いや、何でもない」


それで? と先を促した部長はもう、キリッと真面目な顔を取り繕っている。


私は少しだけ視線を外して、最後の言葉を喉の奥から押し転がした。


「……彼女って、何をするのが正解なんでしょうか」


いつも、部長のエスコートにただ身を任せるだけ。


私から同じだけの何かを返す術も知らず、彼の期待する恋人になれているのかすら分からない。


ただでさえ、こんなにイケメンで、仕事が出来て、優しい彼氏、私には勿体なさすぎる。それでも、奇跡のように結ばれた彼との絆だ。できるだけ大事にしたいのに……。


部長は私の言葉に目を丸くしたかと思うと、太ももの上に乗せていた私の弁当箱を取り上げた。そのまま部長の後ろまで遠ざけるように置くと、部長は、引き寄せるように私を抱き締めた。


まるで私を宥めるように、背中を大きな手が撫でる。


そして、低く落ち着いた声が耳朶を掠めた。


「正解なんて無いんだから、そんなこと気にしなくていい」

「……」


そう言ってくれるだろうな、とは簡単に予想できていた。


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