一途な部長は鈍感部下を溺愛中
なんだか部長の口からは到底出てきそうにもない単語が聞こえた気がして思わず見上げたが、そこに居たのはいつもの部長だった。
……気のせいか。いや、気のせいに決まってるでしょ。何考えてるの私。
緊張しすぎて耳までおかしくなったのかな……と憂鬱になりながら、さっきよりは幾らか自然な動きで、私たちは支社までの道のりを歩いていった。
「東雲部長、お待ちしておりました」
支社に着くと受付のところで、ここの人事部長が待っており、直立不動の腰を深々と折った。
受付に座る女の子たちは突然現れたイケメンに呆気に取られており、例に漏れず東雲部長はそんな彼女たちには目もくれず、人事部長の後を着いていく。
「案内はここまででいい。あとは適当に見る」
「畏まりました」
管理本部が集まるフロアに入ったところで東雲部長がそう言い、人事部長を帰す。
そして空いているミーティング席に座ると、入口のところで突っ立っていた私を手招いた。
「あとは適当に視察して、気になる点があれば質問したりする。機密情報の取扱がちゃんと守られているか、とかな」
「なるほど……」