一途な部長は鈍感部下を溺愛中
こんな道通るのかよコイツ、とかいう笑いだったりする!?と、パニックになっていれば、いや、と東雲部長が口元に手を当てながら少し顔を逸らす。
でも、その肩は小刻みに揺れていた。
「……君、かなり緊張してるだろう」
「え、はい」
「手と足が一緒に出てる」
ふふ、とまた堪えきれなかったように笑われ、恥ずかしくて顔が熱くなる。
カチコチになってる自覚はあったけど、手と足が一緒になっている自覚はなかった。行進覚えたての小学生か?
「……申し訳ありません」
もうなんと言えばいいか分からず、俯きながら謝れば「いやいや」とやや慌てたような声になった。
「別に咎めてるわけじゃない。まあ、さすがに支社に着くまでにはもう少し緊張を解していた方がいいと思うが……行く前にひと休憩挟んでおくか?」
気遣うように目の前のカフェを指さされ、力なく首を横に振る。
……こんな風に気遣わせてしまうなんて、情けない。
「大丈夫です。すみません」
「謝らなくていい。可愛らしいな、と思ってつい笑ってしまった俺が悪かった。気を悪くしないでくれ」
「………………?」
「まあ、今日は初めての視察だ。ただ俺の横に居て見学するだけで構わないから、そう気負うな」