一途な部長は鈍感部下を溺愛中



言われた彼女本人だけでなく、部長以外の誰もがその凍りつくような空気に固まる中、部長は彼女の手から書類を抜き取り押印すると、それをまた彼女に渡し、もう彼女の方を見ることさえなかった。


しかし、今まで散々相手にされなくてもめげなかった彼女だ。それからも諦めず東雲部長にアタックし続けていたけど、ある日突然異動になった。


それからと言うものの、女の子が少し好意を見せるだけで東雲部長は嫌がり、すぐ別の部署に飛ばした。


いくら人事部長だからとはいえ、そこまでぽんぽんと人を飛ばす権限がどこから出てくるのか不思議でしょうがないけれど、気が付けば女子は私一人となっていた。


いや、そもそも……どんどん飛ばされてるのに、自分なら行ける!と思って日和らない同僚たちにも、脱帽だったけれど。


何も、東雲部長は女の人に対して出会い頭からいきなり冷たいわけではない。


仕事中に性差で差別されることも無いし、なんなら上司としては優しくて、頼りになって、本当に良い人なのだ。


だから東雲部長に憧れる女の子は後を絶たないし、多少冷たくされたとしても、クールなところもかっこいい!と評判は右肩上がりだ。



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