一途な部長は鈍感部下を溺愛中



「……そんなに身構えなくても」

「あっ……す、すみません」


どうやら緊張がそのまま伝わってしまったようだ。慌てて頭を下げると、部長はなんとも言えないような顔になり、しかしすぐに真面目な顔つきになる。


「来週の視察、君に同行してもらおうと思ってるから準備しといてくれ」

「えっ!?」


それは私にとって予想外の言葉だった。思わず素っ頓狂な声を上げると、片付けを手伝ってくれていた横山くんが「お〜!」と歓声を上げながらひょっこり顔を出す。


横山くんは猫のような吊り気味の瞳を柔らかく細め、私を見上げた。


「ついにさっちゃんも視察デビューだ」


N.Dreamは全国展開する化粧品会社で、各地に大きな支社があり、支社ごとに管理本部が設置されている。

管理本部下には人事部や経理部があり、各支社事にまとめたデータを、本社の人事や経理に集約、集計し管理していた。


視察では各支社の部門が正しく機能しているか確認しており、部長が月に一度、あちこちの支社に出張していることは知っていた。そこに、私以外のメンバーを一人連れていくことも。




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