一途な部長は鈍感部下を溺愛中



こんな初歩的なミス、どうして……。ちゃんと見直したはずなのに……いや、そんなことを言っても間違えていたのは事実なのだから仕方ない。とにかく、すぐ治さなくちゃ……。


「……このくらいのミス、誰でもやるからそんなに謝らなくてもいい。訂正、よろしくな」


ぐるぐると考えていると、優しい声が降る。

私の顔色があまりにも悪かったからだろうか。普段、仕事中にはあまり聞くことの無い程柔らかい声だった。


けれど、仕事に対して妥協を許さない彼にそんな気を遣わせてしまったことが更に心苦しくて、胸が詰まる。


最後にもう一度謝ってから、書類を受け取り自席に戻ると、松下さんに声を掛けられた。


「佐藤さん、顔色すごく悪いけど大丈夫?」


少し休んだ方が、とこっそり尋ねてきてくれた松下さんに首を振る。


「大丈夫です!ありがとうございます」


いけない。自分が悪いのに、周りに心配かけてしまうなんて。


へらりと笑って見せ、すぐに報告書のドキュメントファイルを開く。


件の図を右クリックから削除しながら、ああ、本当にどうしてこんなミスを、とまた項垂れた。


ぐわん、と脳を揺らす痛みは無視し、作業に取り掛かる。



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