一途な部長は鈍感部下を溺愛中



ショックすぎて頭痛までしてきたや……と頭の隅で苦笑しながら、私は目の前の画面に集中した。


その日は、ボロボロだった。

何故か仕事に集中出来ず、焦る気持ちとは裏腹に仕事が進まない。そうこうしている内に定時のチャイムが鳴り、張り詰めていた空気が一瞬霧散する。


ここの会社は基本的に残業ゼロを目標として掲げていて、特に人事部である私たちは、なるべく残業をしないように東雲部長からも言い含められている。


真っ先に「終わった〜」と伸びをしたのは横山くんで、でもパソコンの電源を落とそうとした手を止め、向かい側からこちらを覗き込んでくる。


「さっちゃんは残業?」

「うん、少しだけ……」

「珍しい。手伝うよ」

「え!ううん、私の仕事だから!少しだし大丈夫だよ、ありがとう」


私が集中出来てなかったせいで進まなかった仕事を、まさか手伝わせるわけにもいかない。


横山くんは暫く渋っていたけど、私の意思が固いと見ると、ひとつため息をついて帰り支度を始めてくれた。


「さっちゃんて変なところで頑固だよね」

「そ、そうかな。あはは」

「すーぐ笑って誤魔化すし」




< 31 / 200 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop