一途な部長は鈍感部下を溺愛中
「佐藤は真面目だし、仕事もできる。ちゃんと君の力量を見て、連れて行っても大丈夫だと判断したから声を掛けたんだ」
「あ……」
その言葉に弾かれたように視線をあげると、柔らかい眼差しとかち合う。
「それとも、俺の判断が間違いだと?」
そんなこと、思ってても言えるわけ無い。
口を噤んで首を振ると、「詳細は後で連絡する」と満足そうな声が降る。
そうは言っても不安の抜けない私に、横山くんは茶目っ気たっぷりのウインクを送ると、私と部長の背中を押した。
「ささ、部長もさっちゃんも、次使う人が待ってますからねー」
そう誘導されるように部屋を出ると、私たちが出るのを待っていた別部署のグループと行き合う。
そこに居た若い女の子達の目が見開かれ、さっと頬が薔薇色に染まり──熱い視線が、東雲部長に注がれた。
ドキ、としながらこっそり東雲部長を見ると、彼はそんな彼女たちには一瞥もくれず、横顔を向けている。
女の子たちは暫しの間名残惜しそうにこちらを見ていたが、会議が控えているからか、諦めたように会議室へと姿を消していく。
その刹那、その子たちと目が合い──睨まれた気がして、私は慌てて俯いた。