一途な部長は鈍感部下を溺愛中
「ぶ、部長、大丈夫ですから……!」
慌てて取り返そうとすれば、ひょいと手の届かない高さまで持ち上げられてしまう。
「手伝うって言ったろ?」
悪戯に吊り上げられた形の良い唇と、やや細められた瞳。
その茶目っ気のある表情に胸を突かれ、見惚れてしまった私は、もう何も言えず颯爽と給湯室の方へ歩き出す部長の後ろを着いていく他ない。
私の好きな人、顔が良すぎる……。
本人はそんなつもり無いのかもしれないが、あまりにもカッコよすぎるので、私はその顔の良さだけで時々降参してしまうのだ。
部長と給湯室に入ると、中には誰も居なかった。この時ばかりは誰か居てくれれば、と思ったけど、居ないものは仕方ない。
とりあえずさっさと片づけよう、とお盆に手を伸ばす。
部長がカップを濯いで捨ててくれているうちに、私は濡れ布巾でお盆を拭いた。ただでさえ少ない作業が、二人で手分けしたことで二分と掛からず終わる。
ホッとしながら、お盆を上の棚に片づけるために背伸びをすると、不意に伸ばした手に、私よりも白い手のひらが重なった。
勿論、近くに居るのは東雲部長のみなので、この手のひらは必然的に部長のものということに──……