一途な部長は鈍感部下を溺愛中



「!?!!?」

「おっと」


思わず手を離しそうになると、お盆ごと強く握られた。


「こういう高い所こそ、俺に任せなさい」


そう言って何故か、部長は私に触れていない方の手でお盆を抜き取ると、片手で棚に戻す。


「あ、ありがとうございます」

「……」

「……」


な、なんで手を握られたままなんだろう……。


背伸びはもうして無いし、手も下ろしている。なのに私と部長の手だけが繋がれた……というよりは上から重ねられたままで、私は混乱を極めていた。


「あの……?」


声を掛けてみても、ゆるく手を引いてみても、手は外れない。


部長の瞳は一度も逸らされず、ただただ私を見つめている。その降り注がれ続ける視線と、交わり合う体温にじわじわと羞恥が募ってきて、対する私の視線は下がり続けた。


もう、耳まで赤い自信がある。


変な汗まで出てきそうで、一体これは何の時間なの? と泣きそうになりながら堪えていると、不意に手が放された。


謎の時間がやっと終わりを迎えたのかとホッとしていると、視界で白魚が泳ぐ。

そして、尾びれのような指先が、私の顎先から頬を辿るように触れた。


「……ッ、」



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