一途な部長は鈍感部下を溺愛中
私はそんな二人をポカンとしながら眺めていて、東雲部長は、拗ねたように唇を尖らせる横山くんに、楽しそうに笑った、その時。
「「東雲部長!」」
まるで部長の雰囲気が和らぐのを見計らったかのように、どこからとも無く女の子が飛び出してきた。勿論、先程会議室前で会った子達では無い。
バッチリメイクに、キラキラとネイルで輝く指先。ふんわりと巻かれた長い髪。ちょっと露出のある服。
女子力が私より数十倍あるであろうその子たちが、大きな瞳をやや潤ませながら東雲部長を捕らえた。
「こんな所でお会いするなんて偶然ですね!」
「エレベーター、私達もご一緒してもいいですかぁ?」
頬を上気させる彼女たちとは反対に、す、と表情から温度を失くす東雲部長。
まだ僅かに笑みは浮かべているが、かなり冷ややかだ。
私たちの執務室は二つ下のフロアにあるので、エレベーターか階段を使わないといけない。
横山くんと部長で話している内にエレベーター前まで辿り着いていて、私は丁度下矢印のボタンを押したところだった。
一瞬の沈黙が流れたとともに、ポーン、と間抜けな音がして私たちを乗せる箱が到着する。