一途な部長は鈍感部下を溺愛中
ど、どうするんだろう……。
エレベーターに乗り込んでもいいものか分からず様子を窺っていれば、東雲部長は冷ややかな眼差しのまま、口元だけに微笑みを乗せてエレベーターを手のひらで指し示した。
「そうか。なら俺たちは階段から戻るので、君たちで使いなさい」
それだけ言うと、返事を待たずに階段側へと歩き出してしまう。私も慌ててそれに続こうとし、しかしそれくらいじゃめげない彼女たちは、「それなら私達も!」と私を突き飛ばすように割り込んでくる。
「わ……!」
ぐにゃり。
丁度方向転換をしようとして不安定だった体勢が、足首が縒れるようにして崩れてしまう。
倒れる──!
ぎゅ、と目を瞑って衝撃に耐えようとした。しかし、訪れたのはまるで布団に飛び込んだ時のような柔らかい衝撃で。
うっすらと瞼を持ち上げると、視界を埋めつくしたのはダークグレーの生地に、ストライプのネクタイ。
あれ、これ……と思うのと同時、至近距離からその場を凍りつかせるような低い声が流れてきた。
「君たちが、今この場で俺に伝えないとこの会社の経営に関わるような重大任務を仰せつかっているというのなら、話を聞こう」