一途な部長は鈍感部下を溺愛中
折角のランチなのに、なんだか微妙な空気になってしまった。
「ごめんね、食べよ食べよ。冷めちゃう」
「ええ~すっごい気になるんだけど……」
そりゃそうだ。こんな中途半端なところで止められたら、誰でも気になるに決まってる。
だけど、まさか「部長のことを好きになってしまったので、バレない内に離れたい」なんて告白できるわけもなく、戸惑うような横山くんの視線から逃れるように目を伏せる。
そのまま暫く無言で食べ続け、じゃあそろそろ帰りますか……という雰囲気になったところで、ぼそりと横山くんが呟いた。
「……でも、よっぽどのことが無い限り、異動なんてさせてくれないと思うよ」
「え?」
「一応確認なんだけど……人事部が嫌になったとかでは、ないんだよね?」
ちょっと不安そうに、私より背が高いのに器用に上目を遣いながらこちらを窺ってくる。
「それは勿論!」
「部長が嫌いになったとかでも、無いよね?」
「……モチロン!」
嫌いどころか好きだから困ってるのだ。危うくむしろ……なんて口走りそうになり、変にカタコトな返答になってしまった。
だよね、と横山くんがどこかホッとしたように頷く。