一途な部長は鈍感部下を溺愛中
目の前には、ニコニコと、しかしちっとも笑っていない目でこちらを見下ろす美しい顔。
その鋭利な視線にザクザクと突き刺されながら、どうしてこんな事になったんだっけ、と背中を冷や汗が伝った。
今日は、いつも通り人事部の定例ミーティングだった。
部長を明確に避け始めて二週間、疼く胸の痛みにも少しずつ慣れてきたこの頃、私はいつも通り会議終わりの片付けを担っていた。
ただいつもと違ったのは、部長が何故か会議室を中々出て行かなかったこと。
急ぎの返信が必要な連絡でもあったのか、皆が会議室を後にする中、部長だけは座ったまま真剣な表情でディスプレイを見つめていた。
そうすると、話さないとはいえ二人きりになってしまい、私は急いで片付けてここから出ようと、少し焦っていた。
今日は普段より広い会議室だったから、コの字に設置されているテーブルをスプレー式の洗剤とペーパータオル片手に拭いていく。そして、隅々まで拭き終わった後、顔を上げると部長が席を立っていた。
しかしパソコンはテーブルに置かれたままで、何していたんだろう? と不思議に思ったものの、ぱちりと視線が絡んでしまい慌てて逸らす。