よるの数だけ 守ってもらった
車が一台曲がってくるのが見えた。
何の因果か、ほとんどわたしが撥ねられた場所と同じ位置。
鳥はもういい。
もうそれだけじゃ、収まらない。
「そら子先輩の相談って───」
彼女がこちらを向く前に、と伸ばした手。
それは一瞬だけ彼女の背に触れて、すぐに空を切った。 は?
ほかの手に遮られた。
その先を見ると、如月初雪がいた。
わけもわからず、腕を外そうと身じろいでみたけれどびくりともしない。
なんで?
意味がわからない。
体内の血液がもの凄い速さで逆流してくような。
お腹の中が煮えて、頭の中に声にならない言葉たちが敷き詰められていく。
「離してよ!」
「だめだ、鳥羽さん!」
「離して!同じ目に遭ってもらわなきゃ気が済まない!!」
「気が済まなくてもだめなんだよそんなことしたら!!!」
とうとう暗闇に追いつかれた。
明けない夜なら、もうそれでいいから、わたしの思い通りになってよ。
もう戻れない。
何度願っても、戻れなかった。
「鳥羽さんのことはなんとかするから君は行って!」
「何勝手なこと言ってんだよ!」
「はやく!」
「待てよ隼奈!!同じ目に遭えよ!!なんでわたしだけ…っなんで隼奈はふつうに跳べるの!?なんで止めるの!?」
「〜〜〜〜っ」
頬に衝撃。
すぐに耳まで痛くなった。
叩かれたこと腹が立って叩き返そうとしたら怒声を飲み込むようにくちびるが塞がれて、なんで今なんだよって、身体が熱から冷めていく。
やがて離れたオッドアイから涙がこぼれたのを見て、思わず笑いが込み上げてきた。
「なんなの、あんた、……きもちわるい」
「どう思われてもいいよ」
どうも思ってねーよ。邪魔してんじゃねーよ。何様だよ。