よるの数だけ 守ってもらった
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少年鑑別所でカウンセラーの先生が「お友達が面会に来てるわよ」と微温湯のような声で言った。
お友達、と決めつけるような言いかたに少し苛立ちを感じたけれど、慌ててそれを飲み込む。
まえはこんなに怒りっぽくなかったのだけれど……持て余していた余裕が無くなった時ほど情けない人間の姿って他にないと思う。
やっぱり素直に如月初雪が通っているクリニックの先生を紹介してもらえばよかったかもしれない。
だけど、正直に言ってしまうと、もう関わりたくはないのだ。
「そら〜、来たよ!」
明るい声とともに登場したのはミナだった。
親でさえろくに面会に来ないのに、ミナは断ってもやってくる。
「そんな顔しないでよ。今日は渡さなきゃいけないものがあってきたんだから」
このまえ来たときは隼奈がついに1メートル75を跳んで大会で優勝したって話で、そのまえはさね先輩が再び町を出て行ったって話だった。デリカシーがないにも程がある。
今日もまたどうだっていい話を持ってきたんじゃないかな。
「あのさ。ミナ、わたしのこと気持ち悪いんじゃないの?」
「…ええ?」
「だって鳥殺した犯人が如月初雪かもしれない気持ち悪いって言ってたでしょ。つまりわたしのこと、気持ち悪いんじゃないのかなって」
なにそのすっとぼけた反応。殺した鳥の数が多くて再犯の可能性があるかもしれないって思われて家に帰らせてもらえずにいるやつのところに、わざわざなんで来るんだろう。