よるの数だけ 守ってもらった
「あ、そうそう。これ、如月が学校辞める前に美術の授業で描いてった絵。ごめんねって伝えてって言われながら渡されちゃった」
ピンク色のハンカチと一緒に渡された一枚の画用紙。
「あいつ、そらのストーカーだったのかも。だってうますぎじゃない?あ、隼ちゃんからキスされてたって聞いたけど平気だったの?」
……ごめんねって。
町に勝手に貼られたポスターと同じ絵柄。
長い髪のわたしが、なぜか大雪が降る空を邪魔するようなバーを跳び超えている絵。
あんただったのかよ。
「きもちわるいね」
思わずミナに同調する。
絵がうまいなんて知らなかったよ。
わたし、如月初雪のこと、ぜんぜん知らなかった。だけど、知らないまま期待していたかった。
きみは期待どおりに、わたしのことを、真っ直ぐに好きでいてくれたのかもしれない。
「でも知ってた? 如月初雪の瞳ってね、すごくきれいなんだよ」
「えーっ!うそだあ。なんかヤダー」
あのひとには、
たぶん、よるの数だけ守ってもらった。
謝ってくれたしね。だから、願ってあげようと思う。
家族のことでさえも他人と呼んでしまう、如月初雪に、ちゃんと朝が訪れることを。
──── そのときは同じ空の下にいたい。