俺の恋人のフリをしてほしいと上司から頼まれたので「それは新手のパワハラですか」と尋ねてみたところ
 モニカは座れと言われたので、その座れと言われた場所にちょこんと座ってみた。ソファがふかふかしていて、座った途端沈みそうになってしまった。

 さて、恋人役とは何をしたらいいのだろうか。
 それに、カリッドの両親と会うために、どのような服を着るべきなのか。その辺をカリッドに相談しなければならない、と思っていた。
 隣の部屋に荷物を置いたカリッドが戻ってきた。

「あ、団長」

 カリッドの姿を見るや否や、モニカは声をかける。それにカリッドは顔をしかめた。モニカの前まですたすたと歩いてきて、彼女を見下ろしながら言う。

「俺たちは恋人なんだ。その、俺のことを団長と呼ぶのはやめろ」

「え、でしたら、なんてお呼びしたらよろしいでしょうか」
 モニカはすっと立ち上がって尋ねた。上官が立っているときは立つ、上官が座っているときは腰を落とす。それが騎士団内でのルール。

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