2/3片思い
タイスケと通りを二人並んで歩く。

こんなはずじゃなかったのに。

初デートは、私の思い焦がれている松川くんとのはずだったのに!

あまりにショックな時って、涙すらも出ない。

力も抜けて、半ばやけっぱち。

タイスケがやけに嬉しそうに横を歩いている。

人がふられたのがそんなに嬉しいわけ?

「あんたさ、人の不幸は密の味状態じゃない?」

口をとがらして言ってやった。

「まぁね。結局は俺とお前でコンサート行く運命だったってことだよ。それでいいじゃん。」

よくないっつうの!

「ナツミさ、本当は今日松川とマッキーのコンサートのはずだったんだろ?」

・・・えっ。

何で知ってるの?!

驚いた顔でタイスケを見た。

タイスケは、素知らぬ顔でショーウィンドウを眺めてゆっくりと歩いていた。

「聞いちゃったんだ。」

「誰に?何を?!」

「マヨから。」

マヨ?

またマヨ?

最近マヨっていう名前を聞くだけで、何だか胸の奥の方がだるくてしんどくなってくる。
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