2/3片思い
その直後、

「あ、ごめん。」

って言った松川くんのかすれた低音と、私の腕を掴んだ大きな手のひらの温かさは松川くんに感じる初めての「男の人」だった。

今までクラスメイトのどんな男子にも「男の人」なんて意識したことなかったのに。

松川くんが「男の人」ってあらためて気づいた瞬間、私の胸の中に初めての気持ちがわき起こった。

なんかこう、キュンと痛いような切ないような、なんともいえない気持ち。

松川くんの動作や声の一つ一つが、恐いくらいに自分の胸を振るわせた。

その日から、

「起立」の時は通路側でなく、自分の椅子を退いたそのままの場所に立ち上がるようになった。
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