ママの手料理 Ⅱ
『俺らは、このGPSは通行人か自転車に踏まれたもんだと思ってたんだ。でもよ、それならこんな変な凹み方はしなくねぇか?お前はどう思う』


急に話を振られた伊織は、どぎまぎしながら問題のGPSをまじまじと見つめた。


『今、俺のパソコンでこれが何に踏まれたか解析してるんだが、条件に当てはまるものがヒットしなくてな…』


アクリル板越しに、銀河が闇雲にウェーブのかかる髪を掻きむしった。


『え、……』


そんな事を急に言われても、色々と事が急展開し過ぎて頭が追い付かない。


焦りながらも答えを導き出そうと考える彼に、


『なら、質問を変える。お前がチビを誘拐して、ストラップの中にGPSが付いていることに気付いた。お前はGPSを壊したい。…さあ、どうする?』


実際に紫苑を誘拐し、銀河が仕込んだそのGPSの存在に気付くことが出来ずに計画が崩れた経験のある伊織にとって、その質問はかなり酷なものだった。


うっ、と言葉を詰まらせながらも、2人に頼られているからには結果を残したい裏切り者は必死に考えて。


『俺、なら…ストラップを地面に落として靴で踏むと思う。スニーカーなら踵でグリグリって』


投げるでも水没させるでもなく、琥珀達と同じ“踏む”という答えに辿り着いた。


『なるほどな』


パソコンに何かを入力しながら、銀河が軽く頷く。
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