ママの手料理 Ⅱ
「……とまあ、そういう事だ。で、これがハイヒールに踏まれたと分かった以上、あの日チビの近くにはハイヒールを履いた女が居た事になる」


伊織との出来事を話し終えた琥珀は、難しそうな顔をしながらそう結論付けた。


「でも、女じゃなくて女装した男っていう可能性は、」


「それなら目立つだろうから目撃情報もあるだろうが。…それに、その問題のハイヒール、」


ワッフルを口に含んだ航海の言葉を、現役警察官は一瞬で否定する。


「俺のパソコンで調べたところ、GPSにできた窪みに一致するハイヒールは9センチヒールって事が分かった。日本の女性に最も合うヒールの長さは7センチと言われてるから、それより少し長いって事だな」


自身のパソコンの実験結果を見せながら銀子ちゃんが言葉を続け、俺は黙って頷いた。


「…でもまあ、世の中に9センチヒールを履いてる女なんて星の数程居るわけで、これだけじゃ犯人特定には至らない」


腕組みをした琥珀が、目を瞑って吐き出す様に呟いた。



彼も警察官だ、今までに色々な誘拐事件の捜査をしてきたことだろう。


そんな彼の知識と経験を総動員しても未だ紫苑ちゃんの居場所が分からないのだ、やり切れない気持ちになるのは当然だろう。
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