LOVEBAD~ヤクザの息子の副社長と最低最悪の身籠り婚~


「どう、新婚生活は?」


M地区のうちの会社が経営するレストランチェーン店への視察に向かう道中の、社用車の中。


後部座席で、隣に座る岡崎社長にそう訊かれるけど。


「昨日から、永倉副社長の部屋に住んでますけど。
向こうは九州に居るから、会ってもないし。
って、訊かなくても、岡崎社長知ってるじゃないですか?」


「えー、みー君と電話とかしないの?」


「しないです」


永倉副社長からの電話は、あの一度きり。


それも、最後の最後にムカついて私から通話を切って、それっきり。



土曜日は引っ越しの荷造りで、日曜日は引っ越しと、週末私自身が忙しいから。


だから、あれから永倉副社長からの電話がないとか、
私から電話をしてみようとか余計な事も一切考えなくてすんだ。


「そしたら、今日が初夜みたいなもの?
夕方にはみー君、こっち帰って来るし」


なんだかその言葉に、ドキドキとしてしまった。


そうか。


今夜はあのタワマンに、永倉副社長は帰って来るのか。


「今夜はみー君、バラの花束とケーキでも買って帰って来るかもね」


いや。それは、ないでしょ、と思うけど。


ちょっと、そんな永倉副社長の姿を想像して、笑ってしまった。


だけど、その夜、永倉副社長は帰って来なかった。



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