LOVEBAD~ヤクザの息子の副社長と最低最悪の身籠り婚~
「風邪大丈夫ですか?」


「べつに熱ないし、もう大丈夫」



そう答える永倉副社長は、
照れ臭さから、ちょっと怒っている。


なんか、この人、ちょっと可愛いな、と思ってしまった。



「妊娠している私の事、気遣ってくれたんですね?」


「べつに、そんなわけじゃないから。
ほら、もし文乃に風邪移したら、一枝君煩そうだし」


なんだか、そうやって必死に言い訳しているこの人に、笑みが溢れた。


「…一枝君が、二葉君の生まれ変わりかもしれないとか、言うから…」


"ーーもしかしたら、文乃ちゃんのお腹の子、ふうちゃんの生まれ変わりかもしれないからーー"


永倉副社長の視線が、私のお腹に向いている。


そうか。


妊娠している私の事を気遣ったというよりかは、お腹のこの子を思ってか。


それでも、嬉しいかも。


私じゃなくても、お腹のこの子を大切に思ってくれるなら。


「二葉さんは、亡くなったんですか?」


訊かれたくないと分かっているのに。


訊いて、しまった。



「さあ。二葉君は行方不明なの。
もう三年以上になるかな」


「行方不明なら、二葉さん生きてるんじゃないですか?」


行方不明ならば、生きていると思う。


大人なら誘拐とかはないだろうし。



「二葉君は、俺や一枝君と違ってヤクザだったの」


「ヤクザ…」


この人のお父さんだけじゃなく、
この人の兄弟の二葉さんも?


「その世界の人間が、行方不明になるって事はそういう事なの」


そんな、分からないじゃない…。


そう頭に浮かぶけど、そんな気休めのような言葉は出なくて。


涙が、目から溢れて来て。


止まらなくて、両手で目を押さえた。


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