LOVEBAD~ヤクザの息子の副社長と最低最悪の身籠り婚~
◇
「おー、西村久しぶり!
って、もう永倉だったな。
念願叶って良かったな、シンデレラ」
今日のその[甘カラ広場]の現場には、
私が元々居た、広報課から、神沢課長が来ている。
いや、どちらかといえば来たのは、私達の方かな。
広告代理店とうちの広報との仕事だから。
「神沢課長お久しぶりです。
はい。念願叶いました」
そう、笑顔で返せたのは、夕べの永倉副社長が、とても私に優しかったからかもしれない。
あの、キスの後。
二人で楽しく、ビーフシチューを食べて。
別々の部屋で眠ったけど。
おやすみ、とか声掛け合って。
今朝も、二人で一緒にトーストを食べて。
ただ、朝は永倉副社長は寝起きが悪いのか、ちょっと不機嫌だったけど。
なんだか、昨日から私は幸せを感じている。
永倉副社長の事、もう嫌いだと思っていないし。
もしかしたら、また私は永倉副社長の事を…。
「おい!
何を思い出してるのか、顔がニヤけてるぞ」
その神沢課長の声で、正気に戻る。
「けど、西村が幸せそうで良かった。
また今度、永倉王子との馴れ初め聞かせろよ」
神沢課長に限らず、私と永倉副社長との結婚は、社内の人間みんな知っている。
私と永倉副社長が入籍した日、
岡崎社長が会社のパソコンで、社員一斉にそれをメールで報告したから。
私の妊娠の事は、まだ伏せられているけど。
きっと、勘の良い人は気付いているだろうな。