裸足のシンデレラは御曹司を待っている
9
鍾乳洞を出て、車に乗り込み329号線を北上するルートを選び、金武湾を横目に交通量の少ない道路を快適に走る。

「この先に人気(ひとけ)の少ないビーチがあるんです。地元の人しか来ないビーチなので運が良ければ貸し切りなので、寄ってみませんか?」

「オススメのビーチに、ぜひ寄ってみたいよ」

直哉が柔らかな微笑みを浮かべた。
その微笑みがとても好きだった。と胸の奥が切なく痛む。

途中、国道沿いにある道の駅に立ち寄った。ここの道の駅は海が目の前、爽快な景色が広がっている。
地元の人でにぎわう店内の入り口付近には、近隣の農家で採れた赤い色が鮮やかなアップルマンゴーが並べられ、甘い芳香を漂わせ出迎えてくれた。
棚の上には箱入りの贈答品のほかにも色々種類があり、ネットに入った自家用やパックに入ったものなどがあった。

「さすがに地元だな。すごい量だ。少し買っていこうか」

「はい、選び方のコツとしましては、すぐに食べる場合黒い斑点が出始め、さらにヘタのところから蜜が出ていて、なおかつ香りが高いものが完熟です」

「じゃ、安里さん選んで」

直哉が悪戯な瞳を向ける。
せっかく説明したのに……。
と、思いながらもいそいそとマンゴーの棚に向かいパックや袋を持ち上げて、美味しそうなマンゴーを選んでしまう。

どうせなら、完熟の美味しいマンゴーを食べてもらいたい。
< 48 / 179 >

この作品をシェア

pagetop