裸足のシンデレラは御曹司を待っている
16
Side 安里遥香
「おじちゃん、バイバーイ」
真哉の声が直哉を追いかけた。それに気づいた直哉が振り返り、小さく手を振る。別邸の花ブロックを曲がると姿が見えなくなった。
本当の親子なのにお互いがお互いを知らない。
やっぱり、直哉の記憶が戻らなくても子供のために言った方がいいのかも……。でも、話をしようとしてもいつもタイミングが悪い。
切ない気持ちで直哉を見送り、陽太に抱っこされた真哉に視線を移す。
すると、陽太が手にしたビニール袋を差しだした。
「これ、シンちゃんの薬、薬局に寄ってもらって来た」
「ありがとう。陽太、仕事帰りに疲れているのにごめんね。助かったよ」
そう、陽太に薬局から薬をもらってきて欲しいと頼んだのは、他らなぬ自分自身だ。だから、せっかく柏木直哉が来て、いい雰囲気でシンちゃんと対面出来たのを邪魔されたなんて思ってはいけない。
城間別邸のお客様である柏木直哉に丁寧な口調ながら凄みを利かせていたのは、由々しき問題だが、それも私を心配しての行いなのだから陽太を責める気になれない。
「腕、折れてなくてよかったな。でも、顔の擦り傷が痛そうだな。シンちゃん、シャワーの時、泣いちゃだめだぞ。男の子だろ」
「シンちゃん、なかないよ」
「ホントだな。じゃ、俺とシャワー入るか?」
「うん、ようちゃんと入る」
男同士でそんな取り決めをしている。でも、昼間泣いている真哉をずっと抱っこして、ヘトヘトだから助かる。
「遥香、おばあが夕飯、用意してるから」
「うん、ありがと」
「おじちゃん、バイバーイ」
真哉の声が直哉を追いかけた。それに気づいた直哉が振り返り、小さく手を振る。別邸の花ブロックを曲がると姿が見えなくなった。
本当の親子なのにお互いがお互いを知らない。
やっぱり、直哉の記憶が戻らなくても子供のために言った方がいいのかも……。でも、話をしようとしてもいつもタイミングが悪い。
切ない気持ちで直哉を見送り、陽太に抱っこされた真哉に視線を移す。
すると、陽太が手にしたビニール袋を差しだした。
「これ、シンちゃんの薬、薬局に寄ってもらって来た」
「ありがとう。陽太、仕事帰りに疲れているのにごめんね。助かったよ」
そう、陽太に薬局から薬をもらってきて欲しいと頼んだのは、他らなぬ自分自身だ。だから、せっかく柏木直哉が来て、いい雰囲気でシンちゃんと対面出来たのを邪魔されたなんて思ってはいけない。
城間別邸のお客様である柏木直哉に丁寧な口調ながら凄みを利かせていたのは、由々しき問題だが、それも私を心配しての行いなのだから陽太を責める気になれない。
「腕、折れてなくてよかったな。でも、顔の擦り傷が痛そうだな。シンちゃん、シャワーの時、泣いちゃだめだぞ。男の子だろ」
「シンちゃん、なかないよ」
「ホントだな。じゃ、俺とシャワー入るか?」
「うん、ようちゃんと入る」
男同士でそんな取り決めをしている。でも、昼間泣いている真哉をずっと抱っこして、ヘトヘトだから助かる。
「遥香、おばあが夕飯、用意してるから」
「うん、ありがと」