裸足のシンデレラは御曹司を待っている
「おばあ、ごちそうさまでした。もらいい物だけどドラゴンフルーツ持って来たんだ。食べようね」

サボテン科の果物で、ピンク色の派手な外皮が特徴のドラゴンフルーツはいかにも南国の食べ物だ。包丁をいれると、白い果肉のモノとピンクの果肉のモノがある。黒ゴマのように散らばっている種と一緒にスプーンですくって食べる。酸味は少なくサッパリとした味わいで、暑い時期に冷やして食べると美味しい。

「誰からもらった?」

「えっ? 別邸のお客様がくださったの」

おばあに答えた横で、陽太の眉がピクリと動く。
ひゃー、おばあ、陽太の顔が怖くなるからあんまり聞かないでー!

「おじさん、シンちゃんにもえほんくれたんだよ」

「まあ、優しいお客様だね。シンちゃん、その人カッコよかった?」

だから、おばあ、やめてー!

「うん、カッコよかったよ。でも、シンちゃん、ようちゃんのほうがカッコいい。だっこしてくれるもん」

「陽太、上等ね。カッコいいって言らったんたい。アハハ」

おばあ、アハハじゃないよ。私、手汗かいちゃったよ。
あ、でも陽太も笑っているからセーフだ。

この前、陽太に真哉の父親の事を聞かれた時に柏木直哉が真哉の父親である話をした。
私が妊娠した時に泣いているのを見ている陽太が、柏木直哉を許せないのは、仕方がないのだろう。
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