炎のシークエンス

消防士は２４時間勤務だ。
連太郎は今日の朝から明日の朝まで仕事。
ということは、少なくとも確実に明日の朝まで会わずに済む。
考える時間が持てることは救いだ。


……あれは小学校の社会科見学の時だった。地元の消防署を見学に行った。そこで働く消防士がまるでヒーローのようにかっこよかった。いっときはクラス中の子供が、将来は消防士になりたいと夢見たくらい憧れた。

でも、その夢を大人になるまで追いかけて叶えたのは連太郎だけ。

連太郎だけはずっと、将来は消防士になるって言い続けてた。
子どもの頃の夢を叶えた連太郎がすごくうらやましくて、かっこよくって、大好きだった。
昨日は飲みすぎて、その『好き』があふれ出してしまった。
もう連太郎に合わせる顔がない。