炎のシークエンス
買い物を終えたころには、だいぶ暗くなっていた。



ーーあ、ここ、建て始めたんだ。

スーパーからほど近い場所。しばらく更地だったけど工事が始まっている。



ここには以前、古い木造アパートが建っていた。



不意に脳裏に焼き付いて離れない、炎のシークエンスがフラッシュバックする。


夜の闇に燃え盛る炎。

炎に飛び込んでいく消防士。

命を救い炎の中から戻った消防士……


忘れもしない。
あれは年の瀬近い、冬の寒い日だった。


その頃の私は実家を出て、勤めていた会社からニ駅隣のアパートで一人暮らしをしていた。

連太郎と桃子が夢だった消防士と看護師への道を邁進する姿に触発されて、私も自立しようと実家を出たのだ。


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