炎のシークエンス
「心春」

連太郎が私の名前を呼ぶ。それだけでつい足を止めてしまう自分が情けない。

「病院に行くときは声かけろって言ってるだろ。なんで一人で来てるんだよ」
「子供じゃないし、いつもの先生に会うだけだし。連太郎は仕事があるでしょ」
「心春一人だと先生の前でいいかっこして、結局症状が悪化するだろ。俺が嫌なら桃子でもいい。必ず誰か一緒に……」
「私のことなら本当に大丈夫だから。仕事中に変な気を使わせてごめんね」

逃げるように今度こそ二人から離れた。

優しくしないでほしい。こんなダメな私に。

連太郎が、女医さんと話をしていても桃子と話をしていても胸がもやもやする。

バカだな、わたし。連太郎のことが気になって仕方ない。

好きがどんどん成長してる。どんなに好きになったって、連太郎がこんなダメな私のことを好きになってくれるはずないのに。

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