炎のシークエンス
「間抜け?心春が?……アンタ誰?何様のつもりで、俺の心春にそんな態度するわけ?」
「俺の、だなんてキミこそ何者だ?」

課長は、筋肉ムキムキの連太郎を上から値踏みするように見た後、臆することなく不躾な態度を取る。

連太郎に腕を掴まれた私は、ただどうしたらいいかわからず立ちすくむ。

「俺は友人だけど」

連太郎は尊大な態度の課長にムッとしながら、負けずに強気で言い返した。

「時間の無駄だ。十倉、行くぞ」
「心春、このやたら偉そうなヤツ誰?」

課長が話にならないと思ったらしく、連太郎は私に尋ねた。

私は息を吸ってもうまく体内に酸素が取り込めていない。だから浅く早く何度も息をしながら、懸命に言葉を紡ぐ。

「勤めていた、会社の、課長で、吉光さん。
これから、仕事の、お手伝いを」

「はぁ?バカなのか?辞めた会社の仕事の手伝いってなんだよ。この人は仕事なんだろ。心春はただのボランティアじゃねぇか。
ったく、心春の人の良さにつけ込みやがって」

「急に辞めて我々に多大な迷惑をかけたんだ。これくらいの協力は当然だろう。土地勘を活かして案内する程度の簡単なことだ。見返りとして食事はご馳走する」

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