お昼寝御曹司とふたりだけの秘密
 恥ずかしがって服を脱ぐのも体を洗うのも時間がかかったが、最後は覚悟を決めたのだろう。

 入浴剤を入れて、一緒に湯船へと浸かってくれた。

「……本当に入ると思いませんでした」

「からかっているのかと思った?」

「はい……」

 後ろから香菜を抱きしめながら彼女の様子を見ていると、緊張しているのかじっと動かない。
 それがかわいくて、彼女の首筋に唇を寄せる。

「んっ、司さ……」

「最近、君に触れられる時間がなかったから、今日はたっぷりとかわいがらせてほしい」

 震える香菜の耳もとでそう言うと、彼女は控えめに振り向いて熱っぽい目で俺を見てくる。

「わたしだって、司さんに触れたいですよ……」

 その言葉に胸が高鳴って、彼女の頬に手を添えてキスをした後、浴槽から上がって寝室へと連れて行った。



「今日の司さん……なんだか意地悪です」

 ベッドの上で体を横にして、好奇心を持ちつつも困ったような顔でそう言ってきた香菜に、俺は少しの間をあけた後、彼女の頭を撫でる。

「こんな俺は嫌?」

「嫌じゃない……ですけど……」

「けど?」

「ほ、ほら! わたしに恥ずかしいことを言わせようとしていますよね……!?」

 焦る香菜に俺はいたずらっぽく口もとが緩んでしまうのを抑えられない。
 ほんの少しあった嫉妬心は、彼女に触れることでいつのまにかなくなっていた。

 自信があったとしても、香菜の想いを感じたいと思う。俺を見て『好き』と言われると、とても満たされた気持ちになる。

「……そういえば、腹が減ったかもしれない」

「帰ってきてすぐお風呂だったから……夜ご飯温めるので、食べましょう!」

「君は先に眠っていてもいいよ」

「いえ……まだ司さんとお話していたいので」

 気恥ずかしそうにしながらそう言って起き上がった香菜が寝室を出て行く。

 なんて愛しいのだろうとその姿を見つめながら、彼女の用意してくれた料理のもとへ向かった。



【幸せにするのは俺だよ END】
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