冥婚の花嫁は義弟に愛を注がれる
 布団から抜け出して、立ち上がる。ひざがガクンッと落ちて、お腹が痛む。昨夜の出来事が夢ではなかった証に、胸が苦しくなる。

 シクシクと痛む下腹部に手を当て、部屋を出る。

 惣一郎さん、どこ……?
 私は、西園寺さまの言いつけを守ったの。

 でも、これで本当によかったの?
 千隼さんと身体を重ねたのは、西園寺さまの願いではなく、私の望みではなかったの……?

 私はずっと、あなたを裏切っていた……。

 朝日の差し込む縁側に立つ。彼の姿はない。

 彼の好きな梅の花はまだ咲いていない。もう咲かないんじゃないか。私がめでるものすべてに、呪いがかけられたんじゃないかと不安になる。

「惣一郎さん……、またお話をしてくださる?」

 当然のように返事はなくて、両手で顔を覆った。

 惣一郎さんにはもう会えない。私の裏切りが許される日も、もう来ないのだ。
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