翠も甘いも噛み分けて
「あー……最近ちょっと怪我して入院してたんだ」

 翠は心配をかけたくなくて精一杯のカラ元気で振る舞うも、幸成にはお見通しだったのだろう。

「……お前、ちゃんと食ってるのか? もしかして、無茶なダイエットとかしたんじゃないのか?」

 幸成の心配げな表情に、翠は急いでそれを否定した。

「ううん、それはない。私の性格知ってるでしょう?」

 学生時代の二人は、付き合っていると噂が経つくらい仲が良かった。学校ではいつも一緒に過ごしていただけに、お互いの性格を良く知っている。当時の翠は、色気よりも食い気、花より団子タイプの、見た目女子力なんて全然興味のない残念女子だった。そして幸成も、スイーツにしか興味のないオタク男子だった。

「あの頃はそうだったにしても、卒業してから環境が変わったら分からないだろう? ダイエット系は男も女も変にマウント取るやつとかもいるからな。それこそ、見た目のことをごちゃごちゃ言うような奴には絶対近寄るなよ。そいつはスイの中身なんて見てないからな」

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