翠も甘いも噛み分けて
「そうなんだ。今日仕事手伝って貰ったからお礼に食事でもと思ったんだけど……」
「あ、そんな……仕事ですからお気になさらないでください。それにもう業務終了時間を過ぎてますから、私はこれで失礼します」
翠は会釈をしてこの場を立ち去ろうとしたその瞬間、浜田は翠の手首を掴んだ。その力は強くて、咄嗟に振りほどけない。
「遠慮しなくていいよ。彼氏には残業って言っておけばいいだろう? 帰りも家まで送るからさ。さっき店も予約したから、伊藤ちゃんも気に入ると思うよ」
今までと態度が一変して、なんだか怖い。明らかに様子がおかしい。
「あのっ、私、本当に食事とか結構です。それに今も言いましたが、彼が迎えに来てくれますので」
「ささ、行こうか。伊藤ちゃん、そうやって俺の気を引こうとしてるんだろう? 痩せてかわいくなったのに俺が無反応だったから、いもしない架空の彼氏をでっちあげて、かわいいなあ」
浜田は手の力を緩めようとしない。ますます手に力を加えるものだから、翠の手首は血が通わず色が変色しかけている。
恐ろしくなった翠は、声を上げようとしたその瞬間だった。
「あ、そんな……仕事ですからお気になさらないでください。それにもう業務終了時間を過ぎてますから、私はこれで失礼します」
翠は会釈をしてこの場を立ち去ろうとしたその瞬間、浜田は翠の手首を掴んだ。その力は強くて、咄嗟に振りほどけない。
「遠慮しなくていいよ。彼氏には残業って言っておけばいいだろう? 帰りも家まで送るからさ。さっき店も予約したから、伊藤ちゃんも気に入ると思うよ」
今までと態度が一変して、なんだか怖い。明らかに様子がおかしい。
「あのっ、私、本当に食事とか結構です。それに今も言いましたが、彼が迎えに来てくれますので」
「ささ、行こうか。伊藤ちゃん、そうやって俺の気を引こうとしてるんだろう? 痩せてかわいくなったのに俺が無反応だったから、いもしない架空の彼氏をでっちあげて、かわいいなあ」
浜田は手の力を緩めようとしない。ますます手に力を加えるものだから、翠の手首は血が通わず色が変色しかけている。
恐ろしくなった翠は、声を上げようとしたその瞬間だった。