翠も甘いも噛み分けて
 調子に乗って運動量を増やして食事の量も少しずつ減らしたたところ、空腹から身体がふらついてバランスを崩し、転んだ拍子に右足を骨折してしまったのだ。絶対安静で二か月、病院のベッドの上で過ごす羽目になってしまった上に、入院中の病院食が口に合わなかったせいで、せっかくついた筋肉も衰えてしまい、退院する時には更に体重が減っていた。
 数字だけ見たら、翠が目標に掲げていた理想の体重だったけれど、なんだか身体のバランスが悪い。

 今日はギプスが取れてちょうど二週間、きっと翠史上、一番スリムな時だ。そんな姿を見られたものだから、幸成が心配するのは当たり前のことだった。

「本当に無理してないんだな? なら、これからは毎日俺の作るスイーツ食べれるな?」
「え、なにそれ最高じゃん。有名パティシエの作るスイーツは、開店してすぐ売り切れるほどの人気があるって聞いてるよ」

< 5 / 51 >

この作品をシェア

pagetop