翠も甘いも噛み分けて
「見た目のことは、ちょっとワケありで、体型を絞ってる最中だから、計画が成功するまでは言わないでよ。でも、昔みたいに本当に毎日スイーツ食べさせてくれるの?」
「ワケあり? ちょっとそれ、場合によっては協力してやるけど、とにかく今のダイエットは止めろ。細すぎて折れそうで、見てられない。スイーツは毎日食わせてやる、約束する」

 幸成は、翠の言葉に怪訝な顔を見せるものの、翠のスイーツへの食い付きに、大きく頷いた。

「本当? やったぁ! 高橋くんのスイーツ、高校の頃ほぼ毎日食べさせて貰ってたから、舌が肥えて大変だったんだよ。あの頃よりも腕を上げてるだろうから、私、期待しかないんだけど」
「おう、任せとけ。スイの仕事は平日? 仕事終わりに連絡くれたらスイーツすぐに食べられるように用意しとくから、連絡先交換しようぜ」

 こうして二人はそれぞれスマホを取り出すと、NYAIN(ニャイン)で連絡先を交換した。翠のアイコンは、飼い犬のチワワ、幸成のアイコンは、意外なことに緑が生い茂る観葉植物だった。

「なんか意外。てっきり自分が作るスイーツをアイコンにしてるものだと思ってた」

 交換した連絡先を登録すると、徐ろに翠が感想を口にした。すると幸成はニヤリと口角を上げる。

「スイーツにしたら俺だってバレバレだろ? 目に優しい画像が落ち着く」

 雑談をしながら披露宴会場に到着し、受付を済ませると、二人の座席は離れていたので、ゆっくり話ができたのはこの時だけだった。
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