天才脳外科医はママになった政略妻に2度目の愛を誓う
 愛おしさのまま寝顔を見つめていると、啓介さんによく似ている乃愛の耳に目が留まった。

 父子の顔合わせは、あっけなかった。

 流樹の子じゃないと疑って欲しいだなんて、虫が良すぎるとわかっている。

 でも、もう少しでいいから、乃愛に興味を持ってもらいたかった。

 まだ小さくてわからないとはいえ、目もとも綺麗な顔立ちも福耳なところとか、啓介さんによく似ているのに。彼はまるであの場に乃愛はいないみたいに、一切乃愛には触れなかった。

「乃愛、さっきねパパに会ったんだよ」

 起こさないよう、そっと語りかけた。


 私がバカなばっかりにみんなに迷惑をかけて。

 乃愛だって、本当なら啓介さんの腕に抱かれていただろうに。

 なにも悪くないのに。ちゃんと紹介してあげられなくて、ごめんね乃愛。

 ごめんと言いながら涙がこみ上げてくる。

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