天才脳外科医はママになった政略妻に2度目の愛を誓う
「私ね、純粋無垢なんかじゃない、すっごく嫉妬深いの。心の中は真っ黒でやきもちでメラメラだった」

「莉子がやきもちって、そんな相手いたか?」

「いるわよ、いっぱい。美人な秘書さんとか。一緒にパーティーに行って、啓介さんが私の知らない綺麗な女性と親そうにしていたときとか」

 思い出して唇をキュッと噛む。

「――それに、写真を見たときも」

 鈴本小鶴は言わずもがなだ。

 啓介さんが言うような純粋無垢とは程遠い。実際、復讐なんて言い出してしまったし。

「莉子」

 顔を上げて啓介さんを見ると、優しい微笑みを浮かべる彼は、斜向かいの席から手を伸ばし、私の頬を撫でる。

 啓介さん、がっかりしたでしょう? なのにどうしてそんなふうに、愛おしそうに私を見るの?

「莉子は」

 見つめ合ったそのとき「ふぎゃー」と泣き声が聞こえてきた。

 緊張の糸が切れたようにふたりで笑った。

「目を覚ましたか」

「見てくるね」

 リビングに行ってみるとサトさんがいて、ベビーベッドから乃愛を抱き上げていた。

「サトさん」

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