天才脳外科医はママになった政略妻に2度目の愛を誓う
「答えになっているか分かりませんが――。鈴本小鈴は俺の妹です。ですが、母はそれを知りません」

「それは……。今も椿さんはご存じないの?」

「はい」

 お義母さまが知らない妹? それじゃ――、お義父さまが浮気をしたの?

 状況を理解しようと必死に考える。

 そうか。妹だから彼女は子どもの鑑定に自信があったのだ。

 詳しくは知らないが、親子ではないとしても、血を分けた伯父と甥ならば、まったくの他人という結果は出ないのではないか。

「過去にも同じようなことがありました」

 啓介さんはここでひとつ、溜め息をつく。

「母は知りませんが、兄も小鶴が原因で破談になった過去があるんです。その事も、莉子と結婚を決める前にきちんと話をしておくべきでした。申し訳なかったです」

 え、お兄さまも破談……。

 でも、わかる気がする。
 鈴本小鶴の堂々とした態度を思い出すと、嘘だと信じている今でも胸が塞ぐ。
 私と同じようにお兄さまのお相手の女性も彼女と対峙したなら、相当ショックだったに違いない。

 私は離婚のほかに復讐するとまで、思い詰めたんだもの。
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