天才脳外科医はママになった政略妻に2度目の愛を誓う

「揚げてあれば香ばしくておいしいのに」

「えっ、食べられるんですか?」

「とりあえず挑戦してみる質でね」

 へえ、そうなんだ。

 なんだかとても安心した。セレブは昆虫なんて絶対に食べないと思ったのに。

 啓介さんは黙っていると冷ややかに見えるし、もっととっつきにくい人かと思っていた。

 意外と話しやすいし表情も変わる。案外気さくな人かもしれない。

「toAで、一度会ってるけど覚えてる?」

「えっ? 会社でですか?」

「ああ、専務室で」

 嘘! ど、どうしよう覚えていない。

「一年くらい前かな、コーヒーを出してくれたときに君は俺と目が合ってるはずだけど」

 その頃はまだ内定者インターンだったと考えて、すぐに閃いた。

「あっ、もしかして」

 目を丸くすると、にっこりと彼は微笑む。

 その柔らかい笑みには、確かに見覚えがある。

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