天才脳外科医はママになった政略妻に2度目の愛を誓う
 あのとき私は彼と目が合って、素敵な人だなと胸をときめかせたのだ。こんな状況だし、今の彼は着物姿で雰囲気がまるで違うから気づかなかった。

「ラフな服装でいらっしゃいましたよね?」

「そうそう。仕事が休みでね」

 専務のお客様の服装は基本ビジネススタイルだ。でも彼は紺色のリネンのシャツに白いパンツという出立ちで、組んだ長い脚は素足にカジュアルシューズ。季節は夏でクールビズとはいえ素足というのは珍しかった。

 それが凄くよく似合っていて、一体誰だろうと興味を持った。

 先輩秘書が須王専務の知人のお医者様だと教えてくれたのだ。あの頃は毎日が緊張の連続だったからすっかり忘れていたけれど。そうだ、今はっきりと思い出した。

「須王専務とお知り合いなんですね」

「ああ、彼は学園の後輩だから」

 そういえば、須王専務も啓介さんも青扇学園出身だ。

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