天才脳外科医はママになった政略妻に2度目の愛を誓う
 兄から小鶴は無事だと聞いてはいたが、この目で確かめられて心からホッとした。

「子どもはどうしたんだ」

「ベビーシッターを頼んだの。まだ小さいとはいえあの子には聞かせたくない話かもしれないでしょ」

 なるほど。母親としての優しさは備えているらしい。俺が呼び出した理由も心得ているんだろう。

 二年前。母は小鶴の子が俺の子だと信じた。しかも俺が小鶴をレイプしたという話、そっくりそのままを。

 俺がなにを言っても聞かず、お前の顔は二度と見たくないとまで言い放った。

 母は精神的に脆い。普段は穏やかだが、スイッチが入ったように激昂すると手がつけられない。その場しのぎではあったが、母の言い分を受け入れて俺は謝った。

 母がどういう行動にでるかは未知数だった。離婚を決めたのは莉子や乃愛を巻き込みたくなかったからだ。

 離婚さえすれば、山上の義母が母を突き放し莉子を守れる。

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